浪人が決まった若いころ、気分転換と称して春先の寒い中の一人旅だった。
なんとなく行ってみたかった。
4月17日に例年上高地はオープンするらしい。
初日ではないけど、朝6時の沢渡からのバスに乗ることに決めていた。
自家用車は乗り入れ禁止なので、沢渡からバスで入ることになる。
けっこうきつかったなぁ・・・ 中央高速の夜間走行は久しぶりだ。
昔、八方尾根にスキーに行ったとき以来だなぁ。
無事6時のバスに乗り込む。けっこう人が多い。だいたいが熟年夫婦。
俺みたいな一人旅者も何人かいる。
往復切符で2800円。昨年の調べた料金より値上がりしているようだ。
山道もトンネルも凄いし、木は一本も切らないぞというポリシーを感じる狭い道路。
20分ほどバスに揺られ、大正池で降り、河童橋へ歩いて向かうことにした。
大正池。枯れ木が佇む先の焼岳。いいねぇ・・・
なんでも上高地は堰止湖で、V字谷だったところに土砂が堆積して、
急峻な山間にもかかわらず平坦な土地が形成されたらしい。
その堆積層の厚さは300mもあるそうだ。
焼岳の噴火は、岐阜のほうに流れていた梓川を信濃川に繋げることになった。
湿地帯と透明な川面を楽しみながら河童橋に向かう。
途中、沢渡で声をかけてきた外国人グループに「マンキー」と声を掛けられ、
見上げると猿が一匹、木の上にいるのが見えた。
まったく道は平坦だ。4Km弱の距離だけど、1時間かからずに河童橋に到着。
いやぁ、水がきれいだ。ヨーロッパの平地を流れる川のようだ。
残念ながらジャンダルムは雲の中から出てこなかった。
来る前に芥川龍之介を読んでこなかったせいかな・・・ なんて反省してみる。
周辺を散策するが、河童橋の先に行く元気は叩き出せなかったので、
9時過ぎのバスで沢渡へ戻る。(想像したとおり寒い。雪がちらつく。)
その後、今回の旅の目的のひとつ、蕎麦を食すことに。
いろいろネットで調べた。
友人に声をかけ知ってる店を教えてもらった。
その本日の1件目が根橋家。上高地から松本方面に行く途中の山形村にある。
11時少し前についた。何組かがすでに受付簿に記入を済ませている。
名前を呼ばれ店内に案内される。大座敷だ。広い。座敷イスも用意されている。
事前に決めていた大ざるとかきあげを注文。
まずは塩で一口。旨い!!
つけ汁もたっぷりだ。しかし、凄い量だ。かき揚げはいらんかった・・・
けどサクサクでこれも旨い!! 大根おろしと塩で平らげる。
いやぁ、旨い蕎麦だ。蕎麦湯も最高だ。
根橋屋の周囲は唐沢そば集落といって、蕎麦屋が集まっている所らしい。
腹がいっぱいになり、しばし松本の満開の桜、リンゴ、桃の花を見て回る。
適当に走り回っていると、どこの道も「日本アルプスサラダ街道」というらしい。
次の蕎麦屋は友人から紹介された店だ。
曽良という店で、ここは15時まで営業しているらしい。
夜も営業している蕎麦屋は見つけられなかった・・・
昼が勝負。けど、そんなには食えない・・・
腹ごなしするため、カメラを抱えてあちゃこちゃ歩き回った。
とにかく松本はどこをどうみても美しいところだ。豊かさを感じる。
ようやく14時を過ぎ、曽良に向かう。
ここは店内での撮影は禁止とのこと。
玄蕎麦の店だ。収穫されたままの殻つきの蕎麦の実を引いて打ったのが玄蕎麦。
だから黒い蕎麦になる。昔、東京で食ったことがあるけど、それほどの印象はない。
想像していたのと異なり、高級感漂う店だ。雰囲気は滅茶苦茶いい感じ。
お腹がまだいっぱいなので玄蕎麦だけ注文。
玄蕎麦登場!!(当然、写真はない・・・)
黒いよく冷えた長方形の皿に整然と乗った玄蕎麦が到着。
つけ汁は二つの器で出され、
ひとつはネギ・ワサビ、もう一つは大根おろしでとのこと。
このつけ汁の器もよく冷えている。
玄蕎麦、そうかこんなに風味があって旨かったのか!!
締めの蕎麦湯も旨い。
今日はこのくらいにして、駐車場の心配がなかったリーズナブルな塩尻の宿へ。
ビールを飲んで、夕日が差し込む西向きの部屋で爆睡・・・